相続税を延納!担保にできるものと条件について

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
                   souzoku-station

相続税の申告と納付は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内と定められています。納付については現金一括払いが原則ですが、例外として延納も認められています。

例えば相続する財産に納税資金として利用できる現金が少額しかなく、土地がほとんどであることがあります。このよう場合には、相続税は支払わなければならないものの期限内に現金を用意することができない場合があります。

なぜなら土地は有価証券などと比べて流動性が低いため現金化するのに時間が必要で、場合によっては「ばく大な財産は相続したものの、相続税が払えない」ことが起こりうるからです。

このため相続税には、納付期限を伸ばすことができる「延納制度」が設けられています。ただし延納制度を利用するためには、担保を提供する必要があります。担保として認められるものは決められており、さらには担保を途中で交換したり、解除したりすることも認められています。

ここでは相続税を延納するための担保について解説していきます。

相続税を延納するための担保とは

冒頭でお話ししたように、相続税を延納するためには担保が必要です。この担保についてお話しをする前に、延納制度を利用した相続税の納付の流れについて整理してみましょう。

納付方法を決める

被相続人が亡くなった翌日から起算して10か月以内に相続税を納付しなければなりません。原則は「金銭による一括納付」ですが、特例として「延納による金銭納付」が認められています。またそれ以外にも例外として相続財産による納付(「物納」)を選ぶこともできます。

申告期限までの10ヶ月の間に、これら3種類の納付方法の中からどれか1つを選択します。

延納申請税額を算定する

延納を選択した場合、納付すべき税額のうちどれだけの税額を延納するのかを決めます。

延納できる期間と延納にかかる利子税について

相続税の延納では、延納できる最長期間が決められています。最長期間は相続財産を占める不動産の割合によって3段階に分かれていますが、最長でも20年、最短の場合5年と決められています。

また利子税についても同様に不動産割合によって細かく決められており、最高年利6%・最低年利は1.2%と定められています。

延納担保を選定する

相続税の延納許可を受けるためには、担保の提供が必要となります。担保は相続により取得した財産に限らず、相続人等の固有の財産や共同相続人または第三者が所有している財産であってもかまいません。

担保提供関係書類を作成する

延納のための担保物件が決まったら、納税者ごとに「担保提供関係書類」を作成します。

延納申請書と担保提供関係書類を提出する

「相続税の延納申請書」と「担保提供関係書類」を作成し、相続税の申告期限までに被相続人が亡くなった時の住所地を所轄する税務署に提出します。

延納申請の許可もしくは却下

提出書類に不備がなければ、延納申請の審査が行われます。審査期間は約3ヶ月間で、延納申請の内容が法律の定める要件を満たし、延納担保財産が担保として適当であると判断
された場合には、延納が許可されます。

延納が許可された場合には「相続税延納許可通知書」が送付され、却下された場合には「延納申請却下通知書」が送付されます。

相続税の担保について

延納のために担保に出来るものの条件

相続税の延納の担保として認められる財産は、以下の6種類と定められています。

延納の担保として提供できる財産の種類

  • 国債及び地方債
  • 社債(特別の法律により設立された法人が発行する債券を含む。)その他の有価証券で税務署長等が確実と認めるもの
  • 土地
  • 建物、立木及び登記・登録される船舶、飛行機、回転翼航空機、自動車、建設機械で、保険に附したもの
  • 鉄道財団、工場財団、鉱業財団、軌道財団、運河財団、漁業財団、港湾運送事業財団、道路交通事業財団及び観光施設財団
  • 税務署長等が確実と認める保証人の保証

上記の6種類の中から、可能な限り簡単に処分ができ、価額変動の少ないものを担保として選ぶことが求められます。

ちなみにほとんどの場合、土地が担保として提供されています。

担保として提供できる財産の条件

上記6種類の財産を担保として提供する場合、さらに担保として認められるための条件を満たさなければなりません。例えば土地を担保とする場合、以下の3つの条件を満たさなければなりません。

条件1:土地に抵当権の設定が出来る

延納の支払いができない場合のために、土地に抵当権が設定されます。しかし既に抵当権が設定されている土地の場合、二番以下の抵当権となってしまうため、こういった土地は担保として認められません。

条件2:土地に延納金額と同額以上の経済的価値がある

延納の支払いができない場合、土地が売却されることになります。売却金額が延納金額を下回ってしまうと税の徴収が難しくなってしまうため、延納する金額よりも多くの経済的価値のある土地が担保として求められます。

条件3:売却が容易である

評価額が延納する金額より多くても、場所や形などの関係で売却に時間がかかる土地もあります。このような土地を担保として引き受けてしまうと税の徴収に時間がかかってしまうため、担保として提供する土地は売却が容易な土地でなければなりません。

土地を担保として提供する場合、これらの3つの条件を満たすことが必要となります。

担保の変更や解除について

担保を提供した後で納付を進めていくと、相続税の残額と担保の金額に著しく差が出てしまうことがあります。このような場合には、担保として提供する土地を変更または一部解除することができます。

ただし変更には審査が必要で、「相続税の残額」と「その年に納付すべき利子税額の3倍」の合計を担保物件の評価額が上回っていなければ認められません。

担保追加の要求をされることもあります

担保として提供している土地などの財産の価額が下落した場合、提供している担保だけでは延納税額を担保できなくなってしまいます。このような場合、税務署長から担保を追加で要求されることがあります。

相続税の担保の条件

延納のために担保にできないもの

最後に延納の担保として認められないものについてまとめてみます。

担保として不適格な財産

担保として提供する財産は、万が一の場合には処分して納税金額に充当しなければなりません。そのため以下のようなものは、担保として不適格とみなされます。

  • 法令上担保権の設定又は処分が禁止されているもの
  • 違法建築、土地の違法利用のため建物除去命令等がされているもの
  • 共同相続人間で所有権を争っている場合など、係争中のもの
  • 売却できる見込みのないもの共有財産の持分(共有者全員が持分全部を提供する場合を除く)
  • 売却できる見込みのないもの
  • 共有財産の持分(共有者全員が担保に係る国税の附帯税を含む全額を担保としていないもの
  • 担保の存続期間が延納期間より短いもの
  • 第三者又は法定代理人等の同意が必要な場合に、その同意が得られないもの

相続税の延納と担保

まとめ

相続財産に含まれる現金預金が少ない場合、納税資金を期限内に用意するのが難しくなってしまうことがあります。そのため相続税には延納制度が特例として認められていますが、そのためには担保の提供が必要となります。

ただし担保として認められるためにはさまざまな要件を満たす必要があり、また延納した場合には利子税も払わなければなりません。

延納制度は私たち納税者には大変便利な制度ではありますが、利用する前にしっかりとした納税計画を立てる必要があります。

そのためには専門的な税法の知識が必要となるため、そういった場合には税理士などの専門家にご相談されることをおすすめします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
○○○

SNSでもご購読できます。