要注意!相続税の連帯納付義務の恐ろしさ

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相続税は納税額が多額になることが多々あることから、納税を巡りさまざまな問題が起こることも珍しいことではありません。

例えば、土地建物など現金化に時間がかかるものを相続した場合、相続税を納付期限内に納付するのが困難になってしまいます。

また、例えば多額の遺産を相続し、相続税を納税せずに行方不明になってしまうといったこともあります。

このように相続税の期限内納付はトラブルが起きるケースが多いため、相続税の納税には相続人全員に「連帯納付義務」が課せられています。

本日はこの相続税の連帯納付義務の内容とその対処法について解説していきます。

相続税の連帯納付義務とは

相続税はそもそも、各相続人がそれぞれに相続した財産の金額に応じて相続税を納税するものです。通常であれば、相続税の納税義務は各人が相続した財産分に対してのみ発生します。

しかしそれでは、確実に税を徴収するのが難しい場合が出てきます。相続税を支払わない相続人が出てくる可能性があるからです。

そこで相続税では、相続人同士が互いに相続税の連帯納付義務を負わせるルールを課しています。これを「相続税の連帯納付義務」といいます。

借金を返済する時に連帯保証人が設定されるのと同様に、相続人の一人が相続税を支払わない場合、ほかの相続人がその相続税の連帯保証義務を負わされます。

連帯納付義務はいつ発生するのか

連帯納付義務は財産を相続した時点から自動的に発生します。また、一度発生した連帯納付義務は、原則として解除することができません。

連帯納税義務はいつ解除されるのか

連帯納税義務は、相続税が完納されると自動的に消滅します。また、それ以外にも相続税の申告期限(相続発生から10か月後)から5年が経過した場合には連帯納税義務が解除されます。

ただし税務署から連帯納税義務のお知らせが届いている場合には、5年が経過しても解除されることはありません。

また、本来の納税義務者が延納または納税猶予を受けて認められた場合には、そのほかの相続人の連帯納付義務は解除されます。
相続税の連帯納付義務

連帯納付義務の対象者

相続税の連帯納付義務の対象者は、財産を相続した人「全員」となります。「全員」とは法定相続人はもちろんのこと、遺言書で遺贈を受けた被相続人の関係者(甥・姪や友人他人など)など財産を相続した全ての人が対象となります。

相続放棄をした場合

相続する権利があるにもかかわらず相続放棄をした人に対しては、相続税の連帯納付義務は課されません。

ただし、これは民法上の手続きを経た正式な相続放棄をした場合にのみ認められます。

遺産分割協議の上だけで「相続分の放棄」としている場合には、連帯納付義務が発生します。

連帯納付義務と納税額

本来相続税を納付すべき人が納付していない場合、その未納の相続人に対して税務署から督促状が送られてきます。

それでも納税されない場合に「相続税の連帯納付義務のお知らせ」がほかの相続人に対して郵送で送られてきます。

未納分の相続税の支払い

「相続税の連帯納付義務のお知らせ」が届いた場合、期限である2ヶ月以内に未納分を現金で一括納付しなければなりません。

本来相続税などの国税に関しては、納税に猶予を設ける「延納制度」が認められていますが、連帯納付義務に限ってはこの制度が適用されません。

「相続税の連帯納付義務のお知らせ」が届くと、2ヶ月以内に相続税を納めなければなりません。

連帯納付義務と利子税・延滞税

期限内に未納分の相続税を納付することができない場合、本税に対して利子税や延滞税が加算されることになります。

納付基準日(連帯納付義務者に督促状が届いた日)の翌日から2ヶ月を経過する日までは利子税として年4.3%、納付基準日から2ヶ月を経過した日以後は延滞税として年14.6%の利子税や延滞税が加算されることになります。

連帯納付義務の納付税額の上限

ごくわずかしか相続していないにもかかわらず、連帯納税義務により自分が相続した財産以上の相続税を支払う事になってしまっては、税の公平性を保つことができなくなってしまいます。

そのため連帯納付義務で負担すべき納税額は、相続した金額分が上限として定められています。

連帯納付義務者が納付を拒否した場合

連帯納付義務者の全てが期限内に未納分を納められるとは限りません。経済的な事情により、納税資金の工面ができない場合も考えられます。そもそも自分が相続した分に関する相続税ではないため、進んで納めたい人はいないでしょう。

しかしだからといって、連帯納付義務を拒否するわけにはいきません。連帯納付義務を拒否すると、最終的には財産の差し押さえが行われてしまいます。

この差し押さえについては、順番が明確に決められていません。納税義務を怠った相続人よりも先に、連帯納付義務を拒否したほかの相続人に対して差し押えが行われることもあります。

差し押さえ先の選定は税務署の任意となるため、相続人の財産状況をみて差し押さえしやすい現金を保有している方から順に行われる可能性も十分に考えられます。

相続税の連帯納税義務者には、「本来の納税者から差し押さえてほしい」という申し立てをする権利が法律上認められていないため、財産の差押えから逃げることができないのです。
連帯納付義務による差し押さえ

連帯納税義務を回避する方法

相続人となった上で連帯納付義務を回避する確実な方法は、残念ながらありません。基本的には納税が完了するまで、連帯納付義務は解消されません。

ただし連帯納付義務による負担を軽減するためには、いくつかのポイントがあります。

相続人全員が相続税を支払うことができるように配慮する

相続財産には、現金もあれば土地建物などの有形固定資産もあります。土地建物は現金化するのに時間がかかり流動性が悪いため、それらを売却して納税資金を用意しなければならない場合、相続した人にとってかなり不利な状況になってしまいます。

そういった状況を避けるために、遺産分割協議を行う段階で全員が出来るだけ納税しやすくするために、現金預金の配分に偏りがないように配慮することが大切です。

遺産分割後も納税資金分を一時預かりして渡さない

相続税分の現金を渡すと納税前に使ってしまいそうな相続人がいる場合、納税が完了するまでこの現金については一時預かりして渡さないことを相続人同士で決めておくと良いでしょう。

もちろんこのやり方には法的拘束力はまったくありませんが、丁寧に話し合いを進めることにより、最終的にご自身の財産が差し押さえされてしまうことのリスクを軽減することができます。
相続税の連帯納付によるリスク

まとめ

相続税の納税は、相続人同士がほかの相続人の納税に対して連帯責任を負っており、この連帯納付義務を巡って多くの裁判が行われています。また、残念ながら今のところ判例はどれも納税者にとって厳しいものばかりです。

現行法では、差し押さえの順位や手順も税務署側の任意であり、納税者側にとって大変厳しいと言わざるを得ないのが現実です。

そのため、まずは連帯納付義務により相続税の負担が大きくならないように、遺産分割時には他の相続人への配慮を忘れることなく、お互いに確実に納税できるように細心の注意を払うことが大切です。

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