相続は誰に?後妻がいる場合の子と妻の相続事情

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
                   souzoku-station

「誰が相続人になるのか」ということ(相続関係)はただでさえ複雑で分かり難いものです。

中でも実際に間違われることも多く最近よくあるケースは「被相続人が生前に離婚をして再婚していた場合」、つまり、被相続人に先妻と後妻がいる場合です。

今回は、被相続人に後妻がいる場合の子どもと妻の相続権や相続配分がどうなるのかについて詳しく解説します。

後妻がいる場合は相続が複雑になりやすい

被相続人の配偶者が相続人になるということは皆さんもご存知でしょう。

しかし、被相続人が生前に離婚して再婚をしている場合、先妻と後妻がいることになります。

また、もしその両者(又はいずれか一方)との間に子どもがいれば、相続に関わる人物が更に増えることになり、相続関係はより複雑なものになってきます。

このような場合、相続権に関してよく挙がる疑問としては、次のような点が考えられます。

まず夫が亡くなった際<一次相続>

  1. 先妻と後妻のどちらに相続権があるのか
  2. 先妻との間に生まれた子どもに相続権はあるのか
  3. 後妻の連れ子に相続権はあるのか

次に後妻が亡くなった際<二次相続>

  1. 先妻との間に生まれた子どもに後妻の相続権はあるのか

これらの点について一つずつ順を追って説明していきます。

先妻と後妻がいる場合の相続

先妻に相続権はあるのか?

民法では「被相続人の配偶者は、常に相続人となる。」と定められています。ここでいう配偶者とは、被相続人が亡くなった際に正式な婚姻関係にある者のことを指します。

つまり、妻の相続権に関しては、「被相続人が亡くなった時点で正式な婚姻関係にあったか否か」がポイントです。

従って、既に離婚している先妻は、被相続人が亡くなった時点で正式な婚姻関係にはありませんので配偶者には該当しません。再婚した後妻が配偶者としての相続権を有します。

また、離婚した先妻のみならず正式な婚姻関係を結んでいなかった、いわゆる“内縁(事実婚)の妻”にも同じ理由から相続権は認められません。

先妻の相続について

後妻と先妻の子の相続権は?

では、先妻との間に生まれた子どもがいた場合、その子どもに相続権はあるでしょうか。

結論から言うと、先妻との間に生まれた子どもには、嫡出子としての相続権があります。

子どもの相続権に関しては、先ずもって「被相続人と血縁関係があるか否か」がポイントになります。

例えば後妻との間に被相続人の子どもは一人もおらず、先妻との間に子どもがいる場合、相続分は後妻が2分の1、先妻との子どもが2分の1になります。

また、後妻との間にも子どもがいる場合、先妻との間の子どもと後妻との間の子どもはいずれも嫡出子であることには変わりありません。両者にはまったく同等の相続権と相続分があります。

従って、先の例で先妻との子どもが1人、後妻との子どもが1人いたとすると、後妻と双方の子どもの計3人が法定相続人となり、相続分は後妻が2分の1、子どもが各々4分の1ずつになります。

このような場合、先妻と後妻に面識があるということは通常考え難く、後妻側で勝手に相続手続きが完了してしまうのではないかと心配になるかもしれません。

しかし、相続では、被相続人の遺言がある場合を除いて、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。相続手続きを行う際はその内容を記した遺産分割協議書と相続人を明らかにするための戸籍(除籍)謄本の提出が求められますので、一部の相続人に知らされないまま手続きが完了するということはありません。

また、遺言書がある場合、公正証書遺言にて相続人は全国の公証役場で遺言書の有無を検索・確認することができますので、心配な場合は利用されると良いでしょう。

遺言書と相続の関係

後妻の連れ子に相続権はあるのか?

一方、後妻が前の夫との間に授かった子ども、いわゆる“連れ子”がいた場合、その子どもにも相続権があるのでしょうか。

連れ子は、被相続人と後妻が正式な婚姻関係にある間に生まれた子どもではなく(非嫡出子)、被相続人と血縁関係もありませんので、そのままでは相続権はなく、当然相続分もありません。

連れ子に被相続人の相続権と相続分を与えるためには、生前に被相続人と連れ子が養子縁組を行って、連れ子を法律上の子どもにしておく必要があります。

養子縁組を行っていれば、連れ子は被相続人の養子(養親の嫡出子)として扱われるので、実子と同等の相続権と相続分を与えることができます。

つまり、血縁関係がない子どもの相続権は、「被相続人と養子縁組を行っているか否か」がポイントになります。

後妻に連れ子がいる場合の具体例

例えば、被相続人である父親と後妻の母親がいずれも再婚で、双方に連れ子が1人ずついたとします。

この場合、母親の連れ子と父親が養子縁組を行っていれば、父親の法定相続人は配偶者である母親と父親の連れ子(実子)、母親の連れ子(養子)の計3人となり、相続分は母親が2分の1、連れ子が各々4分の1ずつになります。

しかし、母親の連れ子と父親が養子縁組を行っていなければ、父親の法定相続人は配偶者である母親と父親の連れ子のみの計2人となって、相続分は母親が2分の1、父親の連れ子が2分の1になります。

後妻に連れ子がいる場合の相続

後妻の遺産を先妻の子が相続するには

ここまで先に夫が亡くなった際(一次相続)の後妻と子どもの相続関係についてみてきました。最後はその後に後妻が亡くなって二次相続が生じた際に考えられる問題についてみていきましょう。

例えば後妻が先妻との子どもを引き取って、被相続人の遺産をすべて相続したとします。

その後に後妻が亡くなったとしたら、後妻が一次相続で相続した被相続人の遺産は次に誰が相続することになるでしょうか。

後妻と先妻との間の子どもには血縁関係がないため、やはり何もしていなければ先妻との間の子どもには後妻の相続権はありません。

そのため、後妻に他に血縁関係のある子どもがいればまずその子どもに相続権があり、いなければ後妻の直系尊属(父母・祖父母)や兄弟姉妹が順次相続権を得ることになります。

すなわち、後妻が一次相続で被相続人から相続した遺産は、先妻との間の子どもには一切遺らず、先妻とはまったく関係のない家系にすべて引き継がれてしまいます。

このような事態を避けて、後妻の遺産を先妻との間の子どもが相続できるようにするためには、①後妻と先妻との間の子どもが養子縁組を行う、もしくは②後妻が先妻との間の子どもに遺産を遺すような遺言をしておく必要があります。

①の場合は、後妻の子ども(養子)としての相続権が得られるため特に問題になることはありませんが、②の場合は、相続ではなく遺贈(遺言による贈与)となるため、後妻の相続人として血縁関係のある子どもや直系尊属がいれば、彼らの遺留分を侵害することがないよう財産配分には注意が必要です。

相続に関する相談

まとめ

このように、被相続人に後妻がいる場合は、そうでない場合に比べて相続関係がかなり複雑になります。

特に、先妻と後妻(あるいはその子ども)の間で財産配分に不公平が生じているような場合には、両者が被相続人の遺産を巡って長期にわたり紛争になることも珍しくありません。

そのような争いを少しでも避けるためには、相続人の遺留分にも十分配慮した双方に不公平のない財産配分で遺言を遺しておかれるのが良いでしょうし、可能であれば生前のうちに一度は先妻やその子どもとも連絡を取り合って、本人の意思を誠実に伝えておかれることが望ましいでしょう。

それでも両者の間で揉め事や争いが生じるようであれば、早めに弁護士に相談されることをお勧めします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
○○○

SNSでもご購読できます。